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2011年10月26日

赤目柏で紫がかった茶色が染まった

アカメガシワ(赤芽柏)の染色



アカメガシワ(赤目柏)は、春先に真っ先に芽吹く植物の仲間で、新芽と葉茎が赤く目立つことからこの名を貰った。
ヌルデやタラノキ、楮、山桜などともに杉林が切り払われたり、火事で焼けたりした後に芽生えてくる植物群のひとつで、パイオニア植物と呼ばれるが、これが、縄文時代の生態系植物相だというから不思議なものだ。そして、これらの植物が「山菜」「薬草」「染料」などして利用されるのであるから、自然界の不思議に驚かざるを得ない。
アカメガシワは、樹皮または赤い新芽と葉茎を干したものが胃潰瘍、胃癌などに効く薬草しても知られる。ただし野草茶に混ぜて煎じると茶が黒くなることから、好みが分かれるようだ。この広い葉は食べ物を乗せる用途も持ち、菜盛り葉とも呼ばれる。
古代より染色に用いられた。藍草で下染めした上に葉と樹皮で染め重ねると純黒色が染まるという。アルミ媒染で黄茶色、錫媒染で黄色、鉄媒染で紫黒色、銅媒染で焦茶色に染まり、真っ黒な小粒の種子は赤色の染料になる。



今回は、黄葉する直前の葉茎でセーター用ウール(毛糸)を染めた。
・天命館前の広場に生えていた木を切り倒し、葉を採集。細かくカットして、洗う。
・使う部分は葉と赤味の残る葉茎。


・糸は精錬しておく。
・煮沸する。沸騰後、15分で煎液が得られた。その煎液を布で濾すと暗黄褐色の煎液が得られた。




・毛糸を入れ、ゆっくりと回転させながら、全体に煎液を浸透させる。20分煮沸。




・水を沸騰させ、媒染剤(硫酸第一鉄・酒石英・蓚酸)を入れる。透明な黄緑色の染液が得られた。
・毛糸を入れ、糸を回転させながら全体に染液を浸透させ、染める。約20分で紫がかった黒に近いグレイに染まった。
・アンモニア溶水に浸すと、色は一層黒くなった。
             


Posted by 友愛社 at 10:30Comments(0)自然芸術館

2011年10月24日

秋風のクラフトPART3 始まりました


秋風のクラフトPRT3 門川「ギャラリー陽だまりの家」にて

会期10月25日-31日
会場 宮崎県門川町庵川西「陽だまりの家」



西米良村「おがわ作小屋村」で開催された「秋風のクラフトPART1」
宮崎市佐土原町「野の苑」で開催された「秋風のクラフトPART2」
は好評のうちに終了。
引き続き門川町ギャラリー「陽だまりの家」
で「秋風のクラフトPART3」が始まりました。
この企画は延岡・日向地域で制作を続けておられる手づくり仲間の皆さんとのコラボレーションです。
潮風の香る古民家ギャラリーの庭には、ドングリの実が落ち、キノコが生えています。
皆さんお誘い合わせ、お越し下さい。









  


Posted by 友愛社 at 08:41Comments(0)自然芸術館

2011年10月19日

秋の陽の色を映す金茶が染まった

アメリカセンダングサの染色 森の草木染め2



春から夏へかけて、草薮の中にある時は、まったく目立たず、畑の脇の草切りをするときなどには、弱い茎はすぐに折れ、倒れて踏みつけられてしまう。薄い黄色の小さな花もこれといった特徴はなく、やはり路傍で見過ごされてしまう。おそらく、食用にもなるまい。
ところが、秋が深まり、すべての草木が紅葉を終え、落葉してしまう頃、この草の実が俄然、存在感を示す。筆先をぶつ切りにして束ねたような、直径5ミリ、花茎の長さ1センチほどの花束の一本一本が茶褐色の鋭い棘となって、人といわず、動物といわず取り付いて離れず、それが靴下やセーター、毛皮などであれば、中へ中へと深々と喰い込んでゆき、ついには肌にチクチクと刺さる。冬に獲物を追って野山を駆ける犬などは、身体中にこの実をくっつけて帰って来て、飼い主を閉口させる。まことに不愉快な子孫繁栄術を持つ草なのである。

ほいとうと 呼ばれる村の しぐれかな
                 山頭火

上句は放浪の俳人・種田山頭火が、熊本・宮崎を経て大分から湯布院へと向かった旅の途中に「ホイト、ホイト」と呼ばれ、子供たちから石を投げられた辛さを詠んだ句である。「ほいと」とは「こじき=乞食」の蔑称で、もともとの乞食(こつじき)修行をする仏僧の意味から物乞いをする貧しい人々へと価値観が著しく低下した呼称である。このいやな草がホイト草と呼ばれるゆえんであろう。
ひっつき虫、ひっつき草、ホイト草などと呼ばれるアメリカ原産の、嫌われもののこの草は、染料としてはなかなか魅力的である。銅媒染で初秋の陽の色を映したような金茶が染まり、アルミ媒染で薄い黄色、鉄媒染でオリーブ色などが染まるのである。
今回は、シルク20%・麻80パーセントの布地とシルクの靴下をミョウバン媒染で染めてみた。


採集してきたアメリカセンダングサを細かくカットし、水洗いして約30分煮沸する。


 赤い煎液が得られる。これにミョウバン液に浸した布を入れ、さらに煮沸する。



20分ぐらいで黄色に染まってきた。さらに30分煮沸し、冷ますとシルク20%、麻80パーセントの布地が金色がかった茶色に染ま ったのである。秋の陽の色を映したような風合いである。


 靴下は椿のアクで染め重ねると、鮮やかなオレンジ色となった。これも思いがけない発色。
 自然の神秘を実感する瞬間である。
  


Posted by 友愛社 at 08:36Comments(0)自然芸術館

2011年10月06日

秋風のクラフトPRT2 佐土原「ギャラリー野の苑」にて

 

西米良村「おがわ作小屋村」で開催された「秋風のクラフトPRT1」は好評
のうちに終了。
涼しい秋風が山から吹き降ろしてきて、咲き始めた野菊やコスモスの花を
そよがせるように、宮崎市郊外の閑静な住宅地にあるギャラリー「野の苑」
で「秋風のクラフトPRT2」が始まりました。


この会場では、「スプーン工房赤木」さんのスプーンの色々、小箱などが
加わり、楽しみが増えました。


今回は、茶臼原自然芸術館の「森の草木染め」を正面に
由布院の高見八州洋さんの竹籠、綾町の酢矢藤沢美さんの
オーガニックコットン・草木染めの服、森の空想ミュージアムの自然布など
テーマ別に展示してよりわかりやすくなりました。
期間中は「佐土原工芸展」も開催されています。
おでかけ下さい。


        


Posted by 友愛社 at 08:36Comments(0)自然芸術館

2011年09月13日

合歓の葉の染色 森の草木染め1



茶臼原の森も、遠くに連なる米良の山脈も梅雨の雨にけぶって、
淡い藍色にかすんでいる。
時折、晴れ間がのぞくと、森と山は少し青みを深める。
こんな日、やわらかな筆の穂先を、少女が頬に押し当てると、
そのほのかな紅と白が筆を染める。それが合歓の花である。

      象潟や 雨に西施が ねぶの花

芭蕉は、「奥の細道」の旅で、小ぬか雨に濡れる合歓の花を
中国古代の美女・西施にたとえたが、「合歓」という文字は、
夕暮れ時になると羽状複葉の葉と葉を合わせて眠ってしまうことから、
男女のこまやかな愛の姿を表象したものである。万葉集には

 我妹子が 形見の合歓は 花のみに 咲きてけだしく 実にならずかも
という大伴家持の歌をはじめ、合歓の葉から男女の共寝を連想する歌がある。
この花を酒に浸けこむと怒りを鎮める薬酒になる。
生葉を採って揉むと、泡立ち、その泡を髪につけて洗う、
現代のシャンプーのような用途として使う地方もあったという。
梅雨明けから夏へかけて、この合歓の葉を採集し、絹を染めると、
ミョウバン媒染であざやかな黄色が染まる。
      

森に合歓の葉を採集に行く。小枝はもろく、ぽきりと折りとることができる。 


採集してきた小枝から葉をむしり取り、洗って煎じる。


沸騰後、煎液に媒染済みの布を入れ、15分ほど染める。
染め上がった布を水洗いする。


絹布はあざやかな黄色、綿・麻は狐色がかった黄色に染まった。
風に翻る布が茶臼原の空によく似合う。


麻のワンピースは鉄媒染でオリーブグリーンに。
素材や媒染剤の違いによる変化も草木染めの楽しみ。

  


Posted by 友愛社 at 14:48Comments(2)自然芸術館

2011年09月03日

秋風のクラフト おがわ作小屋村

平成の桃源郷/西米良村おがわ作小屋村で
下記のとおり、「秋風のクラフト」展が開催されます。
茶臼原自然芸術館の作品も協賛出品されます。
皆さん、お誘い合わせのうえ、お越し下さい。



秋風のクラフト
会場 平成の桃源郷おがわ作小屋村
会期 2011年9月22日~10月3日
出品作家・工房
[茶臼原自然芸術館/自然布・森の草木染め(木城町)]
[森の空想ミュージアム/自然布・天蚕紬(西都市)]
[雑木工房しいの木・小島裕史/木工(木城町)]
[木屋工房・濱砂和彦/木工(宮崎市)]
[ステンドアート花水木・仁田脇和子/ステンドグラス(宮崎市)]
[おうちかか・酢矢藤沢美/オーガニックコットンの衣(綾)]
[竹聲館・高見八州洋/竹と布の籠(大分・由布院)]

秋風が心地よく吹きすぎてゆく季節、平成の桃源郷「おがわ作小屋村」にクラフト作家、工房の皆さんが丹念に仕上げた作品が集まりました。茶臼原自然芸術館の障害をもつ通所者の皆さんが制作した「自然布・裂き織り・森の草木染め」のタペストリーや衣類、クッションなどからは、温かな手ざわりとぬくもりが伝わってきます。森の空想ミュージアムの作家たちからは天蚕紬の着尺やのれんなど本格的な染織作品が生まれ続けています。雑木工房・しいの木の本棚や、木の椅子は自然木の個性が見事に生かされています。大分・由布院からは高見八州洋さんのがっしりと編み上げられた竹籠が届きました。おうちかか・酢矢藤沢美さんの草木染め衣類はオーガニックコットンのやわらかな素材感が生かされています。木屋工房・濱砂さんの重厚な家具が会場を引き締め、、ステンドアート花水木・仁田さんの照明器具は秋風の吹き抜ける空間を鮮やかに照らしてくれるでしょう。作小屋村でお食事を堪能した後は、南北朝の哀史を秘める小川城址公園の森を散策し、クラフト作品や作家との出会いをお楽しみ下さい。

    


Posted by 友愛社 at 09:32Comments(0)自然芸術館

2011年08月25日

2011年 石井十次交流会のお知らせ



2011石井十次交流会
2011年8月28日
「天は父なり 人は同胞なれば 互いに相信じ 相愛すべきこと」
                                                      大正2年石井十次

石井十次の生誕の地、『高鍋』に集まり、石井十次の『愛』の
和・輪・環を再確認し、日本人本来の心・魂を取り戻そう。

・日時 2011年8月28日(日)
・会場 「ホテル四季亭」宮崎県高鍋町北高鍋369
         ℡0983-23-0043
・主催 社会福祉法人石井記念友愛社
         〒884-0120 宮崎県木城町椎木644-1
         Tel0983-32-2025Fax0983-32-3916
・後援石井記念友愛社後援会「石井十次の会」

1、映画 「大地の詩―留岡幸助物語―」上映
・時間 午前9時30分~11時30分
・会場 ホテル四季亭 ・定員200名
・鑑賞料 大人1500円(前売り券1200円)
             こども(小学生・中学生)1000円(前売り券800円)

2、石井十次セミナー
・時間 午後1時~4時40分 ・定員200円
・会場  ホテル四季亭 ・参加費500円(資料等)
主催者挨拶 午後1時~1時25分

(1)講演 午後1時30分~3時
講師 大原謙一郎氏(大原美術館理事長)
演題 『大原孫三郎、石井十次、児嶋虎二郎の残した福祉文化』(仮題)

(2)講義 午後3時10分~4時40分
講師 滝澤民夫氏(早稲田大学講師)
演題 『青年とふるさと ―石井十次と日向教会初代牧師増野悦興の出会い―』

3、懇談会(交流会)
~石井十次について自由に論じ合っていただきます。新しいご縁作りの機会でもあります。
・時間 午後5時30分~7時30分 ・会場 ホテル四季亭
・会費 2500円(食事・飲み物代)
*セミナーと懇談会に参加ご希望の方は、ハガキかファックスで、セミナー参加希望、
懇談会参加希望と書いて8月22日までにお出し下さい。電話での予約は受け付けません。
先着200名まで。県外からの参加者は、ホテル四季亭に宿泊もできます。
直接ホテルにお尋ね下さい。
映画については別に入場券を発行しましすが、一緒に申し込んで下さっても結構です。
定員になり次第締め切らせていただきます。個人情報は他には使用しません。
   


Posted by 友愛社 at 15:40Comments(0)自然芸術館

2011年08月05日

夏の草木染め

夏の草木染めワークショップ
西米良村小川「おがわ作小屋村」にて
 
 
梅雨明けの強い日差しがまぶしい7月23日と24日の二日間、西米良村小川の「おがわ作小屋村」
で「夏の草木染めワークショップ」が開催されました。茶臼原自然芸術館からは指導員の横田康子
と三牧恵が講師として参加しました。「おがわ作小屋村」は中世から江戸時代へかけて、この地を
治めた米良・菊池氏の居城跡を整備した、小川城址公園の一角に昔の山仕事の小屋を復元し、
食事処と交流の拠点とした施設で、多くのお客さんが訪れています。この日は、復元された茅葺きの
古民家に自然布や裂き織り、草木染めの作品などを展示し、民家の軒先で染色を行いました。 
 
集まったのは、県内各地から8人の参加者と三牧さんの子供たち3人。作小屋村のコテージに泊まり
込んで本格的な染色です。まずは、山に入り、染料になる植物を採集します。上右の写真は小川川
沿いの風景ですが、左手にネムノキ、その手前に葛、右手にアカメガシワが映っています。川には
ヤマメがひそむ、遊びと染色素材採集の現場です。
 
子供たちと男どもは早速川で釣り。この日のコーディネーターで遊びの達人がんじいが、たちまち
ヤマメを釣りあげて名人の腕前を披露。ブログネームがんじいこと高見乾司は、「九州民俗仮面
美術館」を運営しながら神楽の現場に通っていますが、茶臼原自然芸術館の企画や方向性を考
える指導員、「おがわ作小屋村」のアートディレクターなどとしても活動しています。「夏の草木染
め」は、がんじいが企画する「おがわエコミュージアム」の活動の一環として開催されたものです。
がんじいの提案するエコミュージアムとは、遊びや豊かな自然、風景、村の伝承文化、史跡など、
地域全体が「美術館」の構成要素なのです。
 
 
参加者の皆さんは採集。この日は、ネムの葉、藤の葉、葛の葉、ヤブマオ、アカソの五種類が得ら
れました。
 
この日は、白のシルクマフラーを準備しました。「草木染め」には、染色と媒染という二つの工程が
あります。まず、素材である草木を煮出して染液を作り、布を浸す「染色」と、発色と色素の定着
効果を持つ媒染剤を溶かした液に布を浸す「媒染」です。媒染剤には、金属、酸、木灰、アルカリ
薬品などがあります。この媒染剤によって発色が変わります。
 
 
染色と媒染の工程には、
・布(今回はシルクマフラー)をぬるま湯に浸け、糊や汚れを落としておく。
・採集してきた草木の葉や茎を適当な大きさに切り、鍋に入れ、煮沸する。
・煮出した染液を布で濾し、液を抽出する。
・この工程をもう一度行い、2番液を取る。
・水に入れた別の容器に媒染剤を入れる。
・染料液を鍋に入れて火にかけ、湯通ししておいた布を絞らずに広げるようにしながら染液に入れ、
時々かき混ぜながら煮染する。
・染めた布を水洗いし、媒染液に入れて媒染する。
・媒染が終わった布を水洗いし、干す。
等の工程があります。干した布が乾いたら完成です。
 
 
今回は、
・ネムの葉のミョウバン媒染
・藤の葉のミョウバン媒染
・葛の葉のミョウバン媒染で
・ヤブマオのミョウバン媒染
・アカソの鉄媒染
の五種の染色を行いました。
最初に染めたのは、川辺で一番先に採集したネムの葉です。あの、梅雨時に淡いピンクの花を咲
かせ、夜になったら葉を閉じて眠ってしまう昔話の中の植物のようなネムの葉からは、あざやかな
黄色が染まりました。林の縁や畑の脇などにはびこり、邪魔者扱いされる葛の葉からは淡い黄色が
発色しました。麻の仲間のヤブマオ(藪麻苧)は道端などによくみられる草で、糸は採れませんが、
渋い灰色がかった茶色に染まり、絞りの文様とよくマッチしました。アカソ(赤麻)も麻の仲間ですが、
この草は平地には少なく、この小川谷のような渓流沿いの崖などに映えています。濃赤紫褐色が染
まる得がたい染料です。古民家から廷内の桜の幹に張り渡された綱に染めあがった布が干されると、
山からの涼しい風を受けて軽やかに舞い上がり、青みを帯びた米良の山々を背景に美しい景色が描
き出されて、参加者からも、村を訪れた人たちからも歓声が上がりました。





 
  


Posted by 友愛社 at 11:57Comments(0)自然芸術館

2011年08月04日

夏休み藍染めワークショップ


入道雲が石井十次資料館の真上にもくもくと湧き上がり、セミの声が森に響く茶臼原
自然芸術館で「夏休み藍染めワークショップ」が開催されました。
参加して下さったのは、川南町多賀小学校の1年生から5年生までの4人と保護者、
引率の先生たちです。今回は、各自、白いTシャツを持ち寄り、「インド藍で」染めるこ
とにしました。
「藍」は世界中に分布がみられる植物で青・紺色を染めるにはもっともすぐれた染料で
す。沖縄の「琉球藍」なども有名です。
日本にも「山藍」は自生し、古代から使用されたことが記録されていますが、江戸時代
四国の徳島県で本格的な藍の栽培法と藍染めが確立して、普及しました。
インド藍は15世紀にヨーロッパにもたらされ世界的な分布の起源となりました。
20世紀に入り、ドイツで開発された合成インディゴ(化学藍)により、工業生産化が果た
され、天然藍での染織が衰退していきますが、天然藍による藍染めも、解毒・止血・防
虫・除菌などの薬効をもつことから根強い人気を保ち、現代に至ってまた復興の気配を
みせています。「裂き織り」や「襤褸(らんる)」とよばれる継ぎはぎの野良着や古布の服
などが「アート」として世界の美術市場を賑わしている現状がそれを示しています。
茶臼原自然芸術館では、藍の種をまき、藍草を育て、葉を採集して乾燥させた「干し葉
藍」による藍染めと、インド藍を用いた藍染めを行っています。一年中利用できるインド
藍は、障がいをもつ通所者の方の簡単な染色や一般の方の参加も可能なワークショッ
プなど、手軽な藍染めとして利用できるのです。

まず、Tシャツに模様を付けるため、「絞り」を入れます。絞りとは、白い生地を輪ゴムや
糸で縛ったり、糸で縫ったり、巻き上げて縛ったりして藍の液に浸すと、その絞った部分
だけが染まらずに残り、さまざまな文様となって浮かび出る染色技法です。
 
絞りが終わったら、お湯に浸けて空気を抜き、いよいよ藍に浸けます。藍の液に入っ
た布は、最初は黄色に染まりますが、やがて黄緑色に変わっていきます。充分に藍
液に浸して引き揚げます。引き上げられた布は空気に触れると、たちまち黄色から青
に変わります。驚きと感動の瞬間です。空気中の酸素が媒染剤となって、あざやかな
藍色が発色するのです。何度も染め重ねると色は濃く深い藍色になります。
染まった布を手で何度も叩いて液の浸透と空気との接触を良くした後、干します。
 
干した後、いよいよ絞りをほどきます。すると色々な模様が浮き出てきます。計算通り
のデザインや、予期しなかった模様などが現れ、歓声が上がりました。今日一番の感
動の場面でした。

みんな、やったね!!

このワークショップでは、茶臼原自然芸術館の通所者の皆さんと一緒に作業しました。
同じ方法で、自然芸術館のガーゼマフラーと糸も染めました。どれも、素敵に染め上が
りました。この糸で、どんな布が織られるか、楽しみですね。
     


Posted by 友愛社 at 11:31Comments(0)自然芸術館

2011年07月28日

枇杷の葉で染めました

枇杷(ビワ)の葉染め 


梅雨空に明るく映える枇杷の実は、食べても美味しく、また、その葉は、古来、
咳止め、血圧降下、血糖値改善、下痢止め、鎮痛・鎮静効果、制ガン効果
などさまざまな薬効があることで知られています。
この枇杷の葉は、染料としても貴重な素材です。枇杷の実を
おいしくいただいた後から夏頃まで、葉を剪定して用います。
今回は、シルクのマフラーと帽子、木綿のワンピースを染めました。



まず、シルクマフラー、帽子、木綿のワンピースなど、染める布を
ぬるま湯に浸け、お湯がよく浸透するように手で押します。
糊付けされている布はよく洗って糊を洗い落としておきます。

枇杷の葉は、手で細かく千切り、ひたひたに水をいれ、沸騰後15分煮出します。
次にザルにサラシを敷き、煎液を濾します。これで染液が得られました。
同じ葉で三回染液を取り、一緒に混ぜ合わせます。
これを一晩置くと、より濃い色に染まります。



さて、こうして得られた染液を火にかけ、熱くなってきたところで
シルクマフラーを入れ、ステンレス棒で軽く押しながら、15分~20分、染色し、
火を止めて染まったマフラーを引き上げ、冷まします。
次にマフラーを軽く絞り、マフラー一枚に約200ccの椿灰汁をボールに取って、
マフラーによく揉みこみます。この椿の灰汁(アク)が媒染剤です。
5分ほど経過したら、マフラーを広げて媒染むらがないか確かめ、
同じボールに椿灰汁水を100ccほど足し、別のマフラーも同じように媒染します。


全部媒染が済んだら、濯ぎますが、より濃い色にしたい場合は染液に入れ、
さらに5分ほど加熱します。この後、水で濯ぎ、干し上げます。


帽子と木綿のワンピースも同じ方法で染めました。
染める素材(布)によって微妙な色の違いがあります。
媒染剤には今回用いた椿灰汁の他、ミョウバン、鉄などがあり、
それぞれに違った発色が楽しめます。




       


Posted by 友愛社 at 14:47Comments(0)自然芸術館

2011年07月07日

 染めと織りの巻きエプロン

 

じゅうじ染めの巻きエプロン
90㎝×40㎝ 2700円
ざっくりとした風合いの木綿をインド藍で染めました。
藍と白の染め分けが美しい巻きエプロンです。


じゅうじ織りの巻きエプロン
90㎝×40㎝ 3800円
古い絹の着物地を細かく裂いて織った「裂き織り」の布を
巻きエプロンに仕立てました。
二種類の裂き織りの組み合わせにより、あたたかな味わい
となりました。


じゅうじ織りの巻きエプロン
90㎝×40㎝ 3600円
古い絹の着物地を裂いて織った「裂き織り」の布を
巻きエプロンに仕立てたものです。
ピンクの色合いがやさしい仕上がりとなりました。
*いずれも、紐も当館の通所者が織った手織り作品です。
*藍染めの巻きエプロンは、既成の木綿布を当館で染めたものです。





    


Posted by 友愛社 at 08:54Comments(0)自然芸術館

2011年06月27日

自然布の「のれん」が出来ました

じゅうじ織り/自然布ののれん




自然布のれん
たて糸・麻/よこ糸・和紙縒り糸柿渋染め、文様は楮糸
35cm×135cm×二幅
34000円


「じゅうじ織り」ののれんが出来ました。
生地はやや厚めなので、間仕切り、タペストリーなどにも利用できます。
たて糸の麻糸には微妙なグラデーションの生なりの糸を用い、
藍染めの細縞が加えられて涼しさを演出しています。
よこ糸には、和紙を撚り合わせた糸を柿渋で染め、強度を保ち、
淡い色合いが魅力的な風合いを生みました。
所々に添えられた文様は、「楮糸」を織り込んだものです。
楮は冬の間に採集し、細く裂き、撚り合わせて糸にしたものです。
「楮」から得られた繊維は、古くは「木綿(ゆふ)」と呼ばれ、
神が宿る布として珍重されました。紙の起源とも重なり合う、
和紙の縒り糸と楮の繊維の取り合わせが良くマッチした作品となりました。

  


Posted by 友愛社 at 09:27Comments(0)自然芸術館

2011年06月23日

自然布のペンケース じゅうじ織りの小物たち3

木綿ペンケースはタテ糸横糸ともに木綿で細い線は藍染め・当館で織られた布です。
毎日の仕事は、遅々として進まない感じがしますが、一年、二年と同じ仕事を続けるうち、
出来あがってくる作品の完成度が高くなってきます。
「熟練」とは、職人の世界の基礎であり、常識でもあるのですが、
傷がいをもつ方々にもそれは当て嵌まります。
通所者の皆さんの技術が向上するとともに、仕立てられる小物の種類が増え、魅力が出てきました。


左・自然布ペンケース600円/右・木綿ペンケース600円
自然布ペンケースはタテ糸麻/ヨコ糸和紙縒り糸・楮
    


Posted by 友愛社 at 09:26Comments(0)自然芸術館

2011年06月10日

裂き織りコースター じゅうじ織りの小物たち2

じゅうじ織りの小物たち2

三年目に入った茶臼原自然芸術館では、自然布・裂き織り・じゅうじ染め
などの仕事が順調に進み始めています。昨年から、縫製を専門職とする
指導員が加わり、これまで「布そのもの」として展示・販売していた素材に
新しい形と命が与えられ始めました。当初製作していたタペストリーやのれん
などに加え、バッグ類や名刺入れ、コースター、ポーチ、文房具類など
愛すべき小物たちが、勢ぞろいしたのです。これらの作品は、布自体が
すべて手作業で製作されるため、不揃いで不均一なものばかりですが、
そのことによって、世界に一つしかない、愛着のあるオリジナル作品として
仕上がります。このコーナーではその代表的な作品を紹介してゆきます。

詳細は、友愛社ホームページ「友愛ショップ」のページをご覧ください。
http://service.kijo.jp/~yuuaisya/

 
左/裂き織りコースタ五枚組500円 右/裂き織りコースター五枚組500円
古い絹の着物地をほどき、裂いて糸にして織りあげたものです。



自然布コースター五枚組 500円
たて糸・麻/よこ糸・和紙の縒り糸柿渋染め/楮
     


Posted by 友愛社 at 09:05Comments(0)自然芸術館

2011年05月26日

茶臼原自然芸術館作品展 好評です


 友愛社の旧・教会を改装した「祈りの丘空想ギャラリー」で開催されている「茶臼原自然芸術館
作品展」が好評です。展示されているのは、このブログに連載した「モーちゃんのフォト日記」「夕
月絵本」と自然布・裂き織りなどの染織作品です。本格的な梅雨入りで、静かな雨が降り続く中、
多くの方が訪れて下さり、メッセージを残して下さっています。その中から主なものを転載します。
         ◇
とても優しい絵で癒されました。織物は色がとてもキレイです。
写真は空気感があって、シラサギの作品が好きです。
                                (福岡県・女性)
         ◇
幼い頃、五右衛門風呂で楮の枝をゆでている時、お芋を蒸してもらって
食べていたのを思い出しました。楮の香りが移った味のお芋でした。
                                (宮崎市・女性)
         ◇
心もきれいになりました。ありがとう。
                                             (木城町比木・女性)

         ◇
心強い織りと やさしい言葉
次、も、また・・・
ありがとうございました。
               (木城町・女性)
         ◇
夕月さん ありがとう。
私も 絵と文
かいてみるね。
                 (木城町・女性)
         ◇
絵も写真も素敵で、ずーっと見入ってしまいました。
夕月さんとモーちゃんの作品をもっともっと見たいと思いました。
これからも楽しみに待っています。
                     (木城町女性)
         ◇
絵の色彩がとても好きです。
さわやかな今の季節みたいですね。
4枚組のフォト日記10の写真、叱られたモーちゃんの心が
軽くなっていく様子がすごく伝わってきましたよ。
これからも楽しんで捜索して下さいね。
                                              (Rg)
         ◇
会期は今月末(5月31日)までです。お近くをお通りの際にはぜひお立ち寄り下さい。


 


  


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2011年05月12日

イオンモール宮崎 出店します。5月13日と14日



久しぶりのまとまった雨です。この雨で、県内の水不足も少し解消されたようです。
茶臼原自然芸術館「じゅうじ農園」の野菜たちにとっても、まさに恵みの雨でした。

5月13日と14日の二日間、イオンモール宮崎店に出品します。
恒例の「歩一歩の店」主催の販売会への協賛出品です。
これまで同様、野菜類や自然布、裂き織りのタペストリー、袋物、
シルクストール、シルクの帽子、名刺入れ、巻きエプロン、
エコバッグ、マイ箸袋などを出品します。
素材の特性や手作業による個性の差などによって、
ひとつひとつが違った味わいを持つ
オリジナル作品として仕上がっています。
お出かけ下さい。
  


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2011年05月07日

茶臼原自然芸術館 作品展 好評開催中です


茶臼原自然芸術館作品展

新緑が輝く茶臼原の森にたたずむ旧・教会を改装した「祈りの丘空想ギャラリー」で
開催中の展覧会に、多くのお客さんが訪ねてきて下さっています。
芸術館の通所者さんが撮った写真、描いた絵、それに添えられた言葉などが、
それぞれの心の記録にもなり、施設全体の成長の記録にもなっていて、
それが訪れた人たちの心に響くのだと思われます。

展覧会は、5月一杯続きます。
染織作品はの販売は茶臼原自然芸術館の玄関ホール内の
展示コーナーで行っています。
お気軽にお立ち寄り下さい。







  


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2011年04月14日

茶臼原自然芸術館作品展 祈りの丘空想ギャラリーにて

茶臼原自然芸術館作品展
会期 2011年5月3日(火)~31日(火)
    AM10:00-PM16:00
会場 祈りの丘空想ギャラリー
     宮崎県西都市穂北5248(石井記念友愛社敷地内)
     TEL0983-32-4607(茶臼原自然芸術館)

 
 
2009年に開所した「茶臼原自然芸術館」は、この春3年目を迎えました。この間、通所者の皆
さんとボランティアスタッフ、職員などが協働して、「自然布」「裂き織り」などの染織作品作りと
豊かな自然を利用した農業などに取り組んできましたが、その活動の中から、通所者の描いた
絵と詩による「夕月絵本」、写真とコラムによる「モーちゃんのフォト日記」というブログへの投稿
作品も生まれました。この展覧会では、友愛社の旧・教会「祈りの丘空想ギャラリー」の空間に、
この二人の作品群を中心に、自然布のタペストリー、裂き織りのベストやバッグ・ポーチ類、シル
クスカーフや帽子などの新作を展示します。緑が輝き五月の風が光る広場では、5月3日、4日、
5日の3日間は、楽しい販売会も開催します。
通所者の皆さんのがんばりをご覧いただければ幸いです。

販売会 5月3日、4日、5日の3日間
会場前広場にて AM11:00-PM3:00
*売り上げの一部を東日本大震災の被災者支援義捐金
として寄付させていただきます
 


   
主催・石井記念友愛社 茶臼原自然芸術館
     宮崎県木城町椎木603-1
     メール:yuuaisya-shizengeijyutukann@kijo.jp
     HP:URL:http://service.kijo.jp/^yuuaisya/
      TEL0983-32-4607
     (担当 高見・横田・江原)
     


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2011年03月28日

西米良村小川民話館 森の自然布展

 
 
宮崎県と熊本県の県境に位置する西米良村小川地区は、一ツ瀬川の支流・小川川の渓流沿いに
ある静かな村です。かつて米良郷一帯を治めた菊池氏の居城のあった場所がその中心地で、
中世の山城を復元した民俗資料館、民話館、山仕事の小屋を再現した作小屋村などがあり、
多くの来訪者を集めています。
この民話館で、3月19日から31日まで「森の自然布展」が開催されており、「茶臼原自然芸術館」
の通所者の皆さんが制作した作品が展示されています。

主な展示作品は、茶臼原自然芸術館の指導員・横田康子とその仲間たちの楮布、葛布、
紙布、藤布、山桜染野の紬などです。森から得られた自然素材の布が、のどかな風景と
よく調和し、来館者も喜んで見て下さっています。茶臼原自然芸術館の作品も、楮布、
裂き織りのタペストリー、巻きエプロン、草木染めの帽子などが揃い、会場に彩りを添え
ています。
 
山桜や桃の花が咲き、クマタカが高い空を飛ぶ「平成の桃源郷」小川の里へ
皆さんもおでかけになってはいかが?
ちなみに「おがわ作小屋村」のお昼ごはんは、
ご飯に汁ものプラス12種類の豆皿におかずの入った「作小屋ご膳」、
「猪そば」「煮しめ定食」「鹿肉のからあげ」「おからコロッケ」などが絶品。
    


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2011年01月19日

自然布のぬくもり2 楮(こうぞ)の繊維を採集する

自然布のぬくもり2
[楮(こうぞ)の繊維を採集する(昨日の続き)]

 

4 楮を蒸す 
採集してきた楮は楮は束にしておき、二日目から蒸す作業に入ります。

  

私たちの「蒸し器」はドラム缶を利用したもの。昔はどの地域にも円錐形の「蒸し器」がありましたが、
今は民俗資料館の展示品としてわずかに残る程度です。

 
5 楮の皮を剥ぐ
蒸し上がった楮の皮を剥ぎます。

 
7 叩く
楮の皮を木槌で叩きます。これで繊維がやわらかくなるとともに、黒い表皮が
取れやすくなります。この叩く時の音がこつこつと周囲の森に響きます。
この後、灰のアクで煮る、籾殻をまぶして脚で踏む、水流にさらすなどの工程があります。
これらが表皮を取り除き、靭皮繊維と呼ばれる幹と表皮の間の白い繊維を取り出す作業です。
それがすむと、一晩、寒にさらす工程があります。今年は例年になく寒い日がつづいているので、
繊維がよく凍ることでしょう。「寒晒し」により、繊維がよりやわらかくなり、白さを増すといいます。

この工程を経て、ようやく繊維を裂き、糸を作り、布を織る作業に入ります。
詳細は友愛社ホームページの中の「自然布ワークショップ」
http://service.kijo.jp/~yuuaisya/
に記録されています。ご覧ください。





   

  


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