2011年09月13日

合歓の葉の染色 森の草木染め1

合歓の葉の染色 森の草木染め1

茶臼原の森も、遠くに連なる米良の山脈も梅雨の雨にけぶって、
淡い藍色にかすんでいる。
時折、晴れ間がのぞくと、森と山は少し青みを深める。
こんな日、やわらかな筆の穂先を、少女が頬に押し当てると、
そのほのかな紅と白が筆を染める。それが合歓の花である。

      象潟や 雨に西施が ねぶの花

芭蕉は、「奥の細道」の旅で、小ぬか雨に濡れる合歓の花を
中国古代の美女・西施にたとえたが、「合歓」という文字は、
夕暮れ時になると羽状複葉の葉と葉を合わせて眠ってしまうことから、
男女のこまやかな愛の姿を表象したものである。万葉集には

 我妹子が 形見の合歓は 花のみに 咲きてけだしく 実にならずかも
という大伴家持の歌をはじめ、合歓の葉から男女の共寝を連想する歌がある。
この花を酒に浸けこむと怒りを鎮める薬酒になる。
生葉を採って揉むと、泡立ち、その泡を髪につけて洗う、
現代のシャンプーのような用途として使う地方もあったという。
梅雨明けから夏へかけて、この合歓の葉を採集し、絹を染めると、
ミョウバン媒染であざやかな黄色が染まる。
      
合歓の葉の染色 森の草木染め1
森に合歓の葉を採集に行く。小枝はもろく、ぽきりと折りとることができる。 

合歓の葉の染色 森の草木染め1
採集してきた小枝から葉をむしり取り、洗って煎じる。

合歓の葉の染色 森の草木染め1合歓の葉の染色 森の草木染め1
沸騰後、煎液に媒染済みの布を入れ、15分ほど染める。
染め上がった布を水洗いする。

合歓の葉の染色 森の草木染め1合歓の葉の染色 森の草木染め1
絹布はあざやかな黄色、綿・麻は狐色がかった黄色に染まった。
風に翻る布が茶臼原の空によく似合う。

合歓の葉の染色 森の草木染め1
麻のワンピースは鉄媒染でオリーブグリーンに。
素材や媒染剤の違いによる変化も草木染めの楽しみ。



同じカテゴリー(自然芸術館)の記事画像
みなさん、今週末のご予定は?
「ホウの葉染めワークショップ」のお知らせです。
ところで、藍って見た事ありますか?
今度は藍染めワークショップやりますよ~!
木もれび クラフト市に出店します。
森の草木染め 山桜で染める
同じカテゴリー(自然芸術館)の記事
 みなさん、今週末のご予定は? (2012-10-11 18:46)
 「ホウの葉染めワークショップ」のお知らせです。 (2012-09-11 16:20)
 ところで、藍って見た事ありますか? (2012-08-01 09:34)
 今度は藍染めワークショップやりますよ~! (2012-07-31 20:47)
 ワークシップ「自然布を織る」苧麻編 参加者募集です。 (2012-06-16 07:37)
 木もれび クラフト市に出店します。 (2012-04-25 17:56)

Posted by 友愛社 at 14:48│Comments(2)自然芸術館
この記事へのコメント
きれいですね!
Posted by 霧島 at 2011年09月13日 15:19
きれいです口蹄疫で気になってました。介護士してますが今でも風景覚えてますありがとうございました
Posted by ジャイロボーラー at 2011年09月21日 00:14
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
合歓の葉の染色 森の草木染め1
    コメント(2)