2011年11月29日

朴の葉で木綿の布を染めた

朴の葉の染色 1
朴の葉で木綿の布を染めた

森に、ほのかな香りが漂っていた。祭りの広場にたちこめる綿菓子の匂い、または上質のシナモンティーの香りに似ていた。それは数年前の秋、高千穂の森で体験した、桂の木が落葉するときに放つ芳香に似ていた。それで、「朴の葉」の香りであることがわかった。
朴の木は、山地に多い落葉高木で、日本特産の樹木といわれる。6月、香りの高い大きな白い花を咲かせる。殺菌作用をもつことから、古くから葉に食物を盛ったり包んだりして使われた。朴葉寿司や朴葉味噌はその名残である。杯の上に敷かれた朴葉と思われる古墳からの発掘例がある。
樹皮は「和厚木(わこうぼく)と呼ばれ、下痢、腹痛、便秘などの薬効がある。気の流れを良くするともいい、肺に働いて呼吸困難、喘息にも効くといわれる。花をホワイトリカーに浸けこむと香りの強い「花酒」が出来る。
染色には樹皮を細かく切り、水煮浸して熱し、煎汁をとり、煮染する。アルミ媒染で薄茶色、銅媒染で茶色、鉄媒染で鼠色が染まる。
茶臼原自然芸術館の建物には石井十次たちが植えた100年物の杉が使われているが、その100年の森を伐採し、杉の木を切り出した後に、200本ずつの山桜と朴の木、山桑が植栽されたが、その朴の木が生長し、森を形成しはじめたのである。
落葉が始まった朴の森で、まだ青味の残る葉を採集し、木綿の布地を染めることにした。

□染色の工程

朴の葉で木綿の布を染めた
□採集してきた朴の葉を水洗いし、千切って約30分煎じる。

朴の葉で木綿の布を染めた
□濃い茶系の煎液が得られた。続けて約1時間煮沸。良い香りが工房内に漂った。朴の葉に味噌を乗せ、野菜や白身の魚などを包み込んで焼くと朴葉の香りと味噌の味とがミックスして美味いが、その朴葉味噌焼きを思い出させる香りである。

朴の葉で木綿の布を染めた
□精錬しておいた布地を入れ、かき混ぜながら焼く15分煮沸。布が薄いベージュ系の色に染まり始めた。

朴の葉で木綿の布を染めた
□一時間ほど放冷し、取り出して脱水、「鉄媒染」にかかる。
□木酢酸鉄を水に溶かし布を入れてよく揉み込むように媒染。深緑がかった灰色に染まった。
□15分ほど浸し、濯いでもう一度染液に入れ、約15分煮沸。

朴の葉で木綿の布を染めた朴の葉で木綿の布を染めた
□深みのあるオリーブグレイが染まった(文様は木立の影)。
 


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Posted by 友愛社 at 09:28│Comments(0)自然芸術館
 
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