2012年01月18日

がんじい「トロントロン軽トラ市」を歩いた

*茶臼原自然芸術館は次回1月22日のトロントロン軽トラ市に出展します。

川南町「トロントロン軽トラ市」にて



*前回の続き

軽トラックの荷台を利用した店開きがまずまずのすべり出しを見せたのを見届けて、見物に出かけた。私たち「茶臼原自然芸術館」の出展場所はゆるやかな坂道の北端に位置していたので、朝8時の開店から11時15分の閉店までの3時間余りの時間に1万人以上の客が集まるという、軽トラ市の全貌は見通せなかったのだ。午前9時。すでに数千人の人出で賑わっている通りを歩いた。
まず、目を引くのは、なんといっても食べ物である。日向灘沿岸の漁村で作られている「鯖鮨」「鯵鮨」などの「魚鮨(さかなずし)」。もともと漁村の女性たちの手で作られていたものだが、近年、「道の駅」や「港の駅」でも売り出され、人気商品となった。鯖や鯵といった定番といえる素材の他に、小鯛、鰯、太刀魚、鮗(コノシロ)などの小魚があって嬉しい。そしてそれらの魚たちは、造り手たちの工夫と技によってそれぞれ独自の味わいを出している。素材が新鮮であることはいうまでもない。モノによっては、今朝まで日向灘を泳いでいた魚かもしれない。天然の生牡蠣を焼いている店もある。日向灘沿岸の遠浅の岩場に、椎葉や米良、尾鈴山系などの山々から注ぐ真水が混じって、とびきり上質の牡蠣が育つのだ。鯵鮨、貝と海草の混ぜご飯、鰻飯などを続けざまに買った。鰻もまた、稚魚の遡上する川を持つ日向灘沿岸は養殖業も盛んで、名物のひとつに数えられるのだ。これで今日の昼飯は確保。門川漁港揚がりの太刀魚の干物と鯖の一夜干しを買って、今夜のビールのつまみに。近隣の農家から運ばれてくる質量ともに圧巻の農産物、肉料理、焼酎などはここに記すまでもないだろう。




刃物を並べているおじさんがいた。刃物といっても、台所用の包丁や鉈、鎌などの農具を売る店ではなく、使い古された鉈、斧、金槌、釘抜き、細刃のナイフ類などである。山仕事の道具や、猪解体用のナイフなども見受けられた。釣り道具も並べられていた。いわゆるアンティークショップではなく、このおじさんは、「男の遊び道具」としてこれらの刃物をコレクションし、ここでは「売る」という行為よりも「遊び仲間」と「つながる」ことを主目的としているような感じであった。
思わず「欲しい」と思った鉈があった。長さ40センチほどもある木の柄は茶褐色に古びて深い味を出し、刃との結合部分は丈夫な草の糸(おそらく山地の崖に生える「菅=スゲ」であろう)で巻かれ、補強されている。その「巻き」が一点のアート作品を見るようである。刃の部分は長い年月をかけて使い込まれ、研がれて磨耗し、刃が内側に湾曲しているほどである。そのカーブもまた美しく、鋭利な刃を収めるための木製の鞘も心憎い。



幸か不幸か、私はこの日、財布を持っていなかった。当節、明確な目的もなしに刃物を買い込んだり集めたりしているとあらぬ疑いをかけられる恐れがある。物騒な、信じられないような通り魔事件などが頻発しているではないか。そのこととは無関係だが、(今日は「売る日」であって「買う日」ではない)と、私は固く自分を戒めて、あえて財布を置き、ホケットに小銭だけを突っ込んで出かけてきたのであった。それで、この鉈をあきらめて引き返したが、この軽トラ市は、タイの奥地の村のバザール、釜山の国際市場や那覇の公設市場、高知の日曜市などを思い出させた。規模や年季などはまだそれらに及ばないが、軽トラックの荷台に種々の物産や商品が並ぶというユニークさは群を抜いている。今年は、東日本大震災の復興支援のモデルケースとして出展されたともいう。地域再生の大きなヒントを秘めている企画といえよう。
わが茶臼原自然芸術館のスタッフも、交代で探索に出かけたが、各々、お気に入りのスポットを見つけたと見え、市場の賑わいの中に消えたまま、しばらく帰って来ないのであった。


    


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