2012年01月24日

ドングリ(樫の実)で「銀紫」が染まった

樫の実で「銀紫」が染まった



米良の山奥で、大量の樫の実を見つけたので、拾った。ドングリ類は、猪や狸、野鼠など、山の動物たちの貴重な食物だが、この冬は豊作だったのだろう。彼らの食べ残しが、落ち葉とともに森の片隅に転がっていたのである。

「ドングリ」とは、檪(クヌギ)、小楢(コナラ)、樫(カシ)、椎(シイ)などのブナ科の植物の実(堅果類)の総称である。古名は橡(ツルバミ)というから、橡の実(トチノミ)も含むのだろう。橡の実は、北国では美味しい橡餅になり、宮崎県椎葉村などの九州脊梁山地の村では樫の実をつぶし、水でさらしてあく抜きをしてコンニャクを作る。樫の実コンニャクは山里の珍味として賞味される。椎の実は生で食べられる。その小さな黒い実を、奥歯でかちりと噛み割って、白いデンプン質の実を取り出して食べる。ほのかな甘みが合って、山の子どもたちの冬のおやつとして貴重であった。
 
楢、小楢、橡などは落葉するが、樫、椎などは落葉せず、照葉樹の森を形成する。古代、ドングリ類で染めた茶系の色は橡色(つるばみいろ)と呼ばれ、重用された。

□ドングリの実を付ける樹木には次の様な種類がある。
・檪(クヌギ) ブナ科コナラ属の落葉高木。ドングリ類では最も大きい実を付ける。カブトムシやクワガタ虫の集まる木、シイタケの原木、武蔵野など、里山の風景を構成樹木などとして最も親しまれている木である。
・小楢(コナラ)檪の葉をやや小さくした感じの樹木。欅、山桜などともに落葉広葉樹林を形成する。晩秋に赤味がった黄色に黄葉する。古名は「柞(ははそ)」。実は小さく、先がとがっている。
・槲(カシワ) 柏とも書く。檪に似るが葉が広く大きい。葉を食物を包んだり柏餅に用いる。鉄媒染で黒茶が染まるという。
・白樫(シラカシ) 照葉樹林を代表する樹木。堅く、鉈の柄等に用いられる他、上質の炭の原料となる。平安時代には「黒袍」を染めたと枕草子に記されている。樹皮のアルカリ媒染で茶色、鉄媒染で黒が染まる。葉でも銀鼠色などが染まる。実は堅くて小さい。
・粗樫(アラカシ) 白樫と同種だが葉がやや大きい。茶系の色が染まる。
・水楢(ミズナラ) 檪に似るがやや大型。九州には少ない。 



□樫の実の染色
ドングリ類の染色は、灰汁媒染による黄橡、鉄媒染による青み掛かった黒、アルミ媒染でベージュ、鉄媒染で薄鼠色などが染まる。今回は白樫だけの実で染めた。
工程
□採集してきたドングリ(樫の実)を陽に干し、煮出す。茶色がかった染液が得られた。
□5回以上煮出しても色が出る。実が煮えて砕け、煎液が濁る場合があるが布で濾して使える。
□鉄媒染で思いがけない色が出た。紫がかった銀色である。上記のように、古来より、ドングリ類では茶系とグレイ系の色が染められている。グレイ系(灰色)には銀鼠、利休鼠、青鈍(あおにび)、梅鼠、紫鼠、空五倍子色(うつぶしいろ)、素鼠、灰汁色、灰色等々さまざまな呼び名がある。今回、染め上がった布は、銀鼠または梅鼠に近い色と思われるが、かすかに紫色がかっており、絹布の光沢と重なって、古来の色名にもない「銀紫」と呼びたい風合いとなったのである。自然の神秘であり、染色の醍醐味といえる瞬間であった。
*染色工程の画像は後日挿入します。

 


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