2010年05月06日

月下の仮面祭 祈りの丘空想ギャラリーの展示から2

仮面詩集1
月下の仮面祭

月下の仮面祭 祈りの丘空想ギャラリーの展示から2

月が出た。
黒々とした山塊の
奥深く抱かれた村の
神社では、年に一度の
神楽が開催されていた。
その御神屋が設えられた境内の
斜め上方の
黒い山嶺を光らせて
ぽっかりと銀色の月が
浮かんだのである。

女が一人
神庭から踊り出て
月に向かって手を広げ、
その手をひらひらと宙に漂わせながら
神社の裏山へと続く
細道に消えた。
神楽の囃子に浮かれたのか
幻月に誘われたのか
男の呼ぶ声が
遠い
山の闇から聞こえたのかは
定かでない。

―今宵ひと夜はお許しなされ
   ひとのかかでも娘でも

鹿、猪、狐、
鬼、水神、山姥、黒い翁
月の光に照らされた
村に
神楽の音楽が流れ、
過激なセリ歌が歌われ
不思議な面相の
仮面神が次々と登場し、
幽玄の舞を舞う。
ピッ、ヒョォォォ・・・・・
神楽の笛に
雄鹿が雌鹿を呼ぶ声が混じる。


女が
一夜だけ
行方知れずとなるのは、
こんな晩だ。
 



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Posted by 友愛社 at 11:34│Comments(0)がんじい
 
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